中国のテレビ局のロケが、小樽市内各地で相次いで行われている。いずれも旅行番組のロケで、小樽運河を中心にオルゴール堂や水族館など、各観光施設が取り上げられている。
ロケ誘致や撮影協力などを行う小樽フィルムコミッションによると、2004(平成16)年から2007(平成19)年まで、小樽での海外ロケは、全部で32件。大半が韓国・台湾のTV撮影で、中国はわずか2件にとどまっていた。
しかし、今年8月に入ると、3つの旅行番組のロケが相次いで行われた。30日(土)に行われたのは、放送局「旅遊衛視」の「環球DIY」という番組。「写意日本」というタイトルで、中国の国画大師・安雲霽(アンユンジ・47)さんの家族と一人の旅行者が一緒に北海道・東北を巡り、日中の文化や地元の人と触れ合い、風景画を描いていく。
余市北星高に通っていた安さんの妻・正谷絵美さん(38)が、中国で家族ビザが取得出来るようになったことから、「北海道は良い所だから紹介したい」と推薦し、北海道ロケが決まった。
小樽での撮影は、30日の昼間に行われた。安さん一家は、まず小樽運河を人力車で巡り、倉庫群を眺めながら、写生スポットを探した。選んだのは、港町にあるレストラン「おれの小樽運河店」の窓から見た運河と倉庫の景色。店に無理矢理頼んで席を空けてもらい、和紙を広げて中国水墨画を描き始めた。
一方、妻の絵美さんと息子の海真くん(8)・海霽くん(5ヶ月)らは水族館へ向かった。館内を見学し、アザラシのショーを楽しんだ。ショーでは、海真くんが、アザラシに回転の合図を送ったり、輪投げを体験。水族館を楽しんだ3人と旅行者は、運河の風景を描いている安さんの所へ戻った。
ちょうど、1時間程度の時間で水墨画は完成しており、家族4人でその絵を見ながら、絵画や小樽水族館での出来事を話し合っていた。この後、撮影スタッフを合わせた9人で、政寿司を訪れ、小樽の寿司を満喫して、秋田や山形、宮城の東北に向かう。
日中文化交流会の会長でもある安さんは、「中国側の代表として、中国の方に日本を理解してもらうよう努力する。完成した絵は、今後、北京で開く日本を紹介する展覧会に展示する予定だ」
絵美さんは、「中国の内陸に住んでいる人たちは、海がある街が好き。海の街・小樽は、食べ物が美味しいし温泉もある。冬はスキーも出来るし、お寿司屋もいっぱいある。中国の人は好きになると思う。息子ももっと遊びたいと言っているので、今度はプライベートでゆっくり小樽に来たい」と話していた。
フィルムコミッションの岩田智之事務長は、「中国での視聴者は約1億人と聞いているが、その人たちが、この番組を見てくれればすごく嬉しい。大きな小樽のPRになる」と期待を寄せていた。