病院問題が大きな転換期に!予算特別委で論議


 小樽市議会第1回定例会の予算特別委員会(厚生所管)が、3月11日(火)13:00から、市役所別館第2委員会室で開かれた。
 この中で、平成20年度病院事業予算編成での患者数の見込みの根拠や、市側が予定している病院改革プランづくりで外部の有識者を招くことについて、ガイドラインを作成した長隆座長の名が与党・自民党から上がるなど、病院問題の急展開に伴う質疑が行われた。
yotoku.jpg 平成会の成田祐樹議員は、「これまでの病院事業の当初予算と決算結果の患者数の乖離は」 と質した。病院事務局は、「市立病院の過去の一日平均患者数は、2003(平成15)年度は14人減(入院6人減・外来8人減)、2004(平成16)年度は13人減(10人増・23人減)、2005(平成17)年度は26人減(7人減・19人減)、2006(平成16)年度は29人減(10人減・19人減)と、各年度当初予算よりも決算が減少している」 と答えた。
 「当初予算よりも低い数字になり、いままで結局予定通りいかなかったのに、平成20年度の病院事業予算編成で、入院患者数の4人増(一日平均)の根拠は」と質した。「予算編成時に、小樽病院の整形の医者が辞めると知っていたので8人減とみていたが、内科の医師が19年度中に増えたこともあって8人増とした。婦人科、泌尿器科で1人ずつの増、第2病院は、脳外と精神で1人ずつの増で合計4人の患者増を見ている」(病院事務局) と答えた。
 「入院で内科の患者が増えるとしたが、医師が1人辞めるというのは含まれているのか」の質問に、「予算作成の時には辞めるというのは分からなかったので、今後患者が減ると考えている」 と答弁した。
 これに対し、「この予算案は非常に不安定。このまま実行しても、これまでの経過から予測とは外れる。予算を通すのは難しい」 と成田市議は指摘した。「予算編成の際に、病院収益の見通しは非常に難しい。平成20年度について、診療報酬改訂が4月1日からあり、小樽病院・第2病院でどのように影響があるか分からない。診療報酬改訂も予算に見込まず、医師の減もあり、予算の収支の見直しも途中で必要になる」 と、予算編成のズサンさが露になる答弁を行った。
 医師の勤務状態について、「医師は管理職の位置づけで、時間外勤務はないので正確な数字はないが、ヒアリングを行ったことがあり、これによると、1週間38時間45分。多い医師では、土日の患者の容態、救急の対応などで、平均して20時くらいまで残る人もいて、週60~70時間働いている人もいる。医師の当直時間は、土日では、朝から勤務して翌日夕までで32時間勤務になる。土日は2回と数えているが、樽病の医師で最大5回、第2病院は13回行っている」 と明らかにした。
 この過労勤務状態に対して、「この問題は、小樽病院のみならず、全国的に切実な問題となっている。医師が増えれば、一人の医師の負担が軽くなるのは当たり前の話。医師の増員が出来ないから難しいというジレンマになっており、患者の制限をするのも難しい。解決するには非常に難しい。医師の負担を解消していく方法を具体的に考えていくことが必要。当直明けは休んでくださいと言っているが、なかなか難しい。現状を理解してもらって、出来るものは改善に向けて努力したい」 (小軽米事務局長)と述べた。
 与党・自民党、新病院建設で方針転換!国の方針に沿った改革プラン策定へ
 自民党の前田清貴議員は、この予算特別委員会で、先の本会議代表質問で取り上げた改革プラン策定での外部有識者の参加に対する質問に関連し、「医療関係のコンサルティング的な人で、公認会計士を想定しているようだが、長隆さんのことか」 と、具体的な名前を挙げた。与党・自民党の議員会長を務める前田市議から、長隆氏の名前が挙がったことに注目が集まった。
 外部有識者の想定で長隆さんの名前を出した真意について前田市議に聞いた。「代表質問で、地方公営企業等経営アドバイザー制度を導入してはどうかと質問し、外部の有識者を想定していると答弁があったから、医療関係のコンサルティング的な人で、公認会計士を想定しているということは、長隆さんのことかと、今日の予算特別委員会で名前を出した。
 今は総務省のガイドラインに乗じて、新病院の絵を描くには良いチャンスだ。国が求めているのだから、コンパクトで町にあった病院にすれば良い。自民党内部でも、基本構想を見直さなきゃいけないという議論になっている。
 ここに来て、(病院問題が)足踏み状態となっているので、病院規模が小さくなるなら、小さい病院をお金をかけて築港に持っていくことはない。築港にこだわるわけじゃなく、小さい病院になれば築港に建てても仕方がない。党議や議員会で決まったわけじゃないが、若手議員の中では、これまでの考え方は変わりつつある。内部では、第二病院の心外・脳外を核とした病院を建てた方が良いという議論をしている。学校(量徳小)との問題もあるが、出来るなら現在地周辺で考えたい。お金を無駄にすることはない。自己資金でどうにか出来るかとかそういった議論が必要だ」 と話した。
 与党・自民党が、これまで推進してきた築港での新病院建設の方針を転換し、現在地周辺でコンパクトな病院建設を進める考えを明らかにしたことは、今回が初めて。与党の内部でも、国のガイドラインに沿った改革プラン策定で、長隆氏の協力も考えていることが新たに浮上したことで、小樽の病院問題の今後の大きな転換点になる可能性が高まった。
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