新病院予算計上せず!遠のく幻の豪華病院 


 2月25日(月)、山田厚副市長は、出張中の山田勝麿市長に代わり、新年度予算と第1回定例会提出議案についての記者会見に臨んだ。
 この中で、小樽市が、これまで進めてきた新病院建設について、昨年11月に基本設計を中断、用地購入を平成20年度に先延ばしした対応を180度転換する方針を明らかにした。
 市は、平成20年度予算で、基本設計の再開や用地購入の起債申請を含め、新病院関連予算を計上する状況になく、新年度予算には計上していないと断言した。
 これは、昨年11月に、新病院建設に対する今後の方針として、「①新病院建設用地の購入を平成20年度に変更する。②基本設計については、平成19年度の委託業務を一時中断し、平成20年度の用地購入に係る起債申請の時期を見極めて再開する」と述べていた。
 今回、用地購入と基本設計の再開を平成20年度予算に計上しなかったことは、この11月の方針を180度転換したことを公式に認めたものとなった。これにより、今度は、総務省の公立病院改革ガイドラインの再編ネットワーク化に沿って、市内の医療機関と役割分担を協議して、今秋までに改革プランの策定を急ぐことになった。
 このため、これまで新病院建設を推進してきた総務部の市立病院新築準備室(小樽病院内)から、建設技術職員を引き上げ、縮小体制をとることになった。病院改革プランの策定には、当面、市立2病院の事務局があたるとしている。
 これにより、市と市議会が、一体になって邁進してきた築港地区での新病院建設は、まさに絵に描いた”幻”の餅となったことが露になった。
 ”幻”となった新病院建設で、市は、それでも統合新築の御旗は降ろさないとしているが、従来よりはるかにトーンダウンし、敗戦処理の風情が漂っている。
 今後は、総務省のガイドラインの3本柱の経営効率化、再編ネットワーク、経営形態の見直しに従い、市内の公的病院や医師会などの協力を仰ぎ、民間でやるものは民間でまかせる役割分担を徹底する方向を目指すことに決めた。
 この副市長の会見は、新病院建設中断以降、はじめて具体的な市の対応を明らかにした。今後の小樽の地域医療の行方に、小樽市がどう関わるかに大きな影響が与えるものだけに、インターネット新聞社としては、発言内容とともに動画で肉声をお届けする。
≪山田厚副市長会見から≫
hukusicho.jpg 「新病院に関わる予算についての考え方ですけど、昨年11月以来、病院事業の収支状況ですとか、国の財政支援措置などを見ておりました。ご案内のように、12月24日付で公立病院改革ガイドラインも出されました。そういったものを検討しましたけども、今回の予算編成の中で検討したところ、当初予算に計上する状況にはないと判断を致しましたので、関連する予算については計上してございません」 動画1
 「判断の大きな何点かを申し上げたいと思います。まず、11月にお話ししたように、病院事業の収支状況というものを見たいということでしたが、19年度の実績については、計画を上回る見込みですが、平成20年度以降につきましては、医者の数や看護婦(師)の確保の状況、診療報酬の改訂など、収支見通しを立てるには不確定な要素が現在あるということがひとつ。それから、私どもとしては、国の財政支援措置を期待をしておりましたが、12月、1月段階で、国の方針の中では、我々も要望し、北海道市長会からも要望してましたが、健全化措置が残念ながら講じられておらず、不良債務解消のための特例債が設けられているが、これもあくまでも借金で、起債でございますので、また、詳細も年度明けなければ示されないということで、小樽市としてどれくらの額が対象になるのかが、予算編成時に分からないと、こういうことです。もうひとつは、さらにその一般会計の状況ですが、先ほどお話申し上げたように職員給与費のさらなる削減をしてやっと編成ができるというように大変厳しい状況でございますので、病院事業会計が計画通り進まなくて、さらなる繰出しを行うような状況というのが出来ませんので、そいういった状況というのを踏まえました」 動画2
 「一方、総務省が示した公立病院の改革ガイドラインについては、平成20年度中に、病院事業を設置している各自治体に対して改革プランの策定が求められています。この中では、当然、経営に関するいろんな指標をもって計画を作れということになっていますので、そういった作業がひとつある。それから、このプランの中では、現在の病院などの再編ネットワーク化についても検討することになっておりますので、当然、市内の公的病院も含めた医療関係の方々とのネットワーク化について、やはり検討していかなければならない。当然、現病院との議論でいけば、将来的な新病院についても関連をしてきますので、そういったことを考えますと、20年度におきましては、まずこの改革プランを策定することが先決でありますし、また、病院事業においては、起債の導入するために、(不良債務)解消計画を着実に実行できるように、引き続き経営改善を進めていく必要があると考えました。従いまして、新病院については、それらの結果を踏まえて進めていく必要があるというふうに発言を受けまして、今回の予算計上は行わない、とそういうことで判断を致した次第です」 動画3
 「今、ネットワークというもの協議をしますとしていいながら、一方で土地を買いますということはできないと判断したので、少なくとも平成20年度に、土地を買うという意味での起債の申請の協議というのはないと思う。ただ、問題は、今、道と協議しているのものについては、現病院の財政再建計画というものを出しているわけであって、その計画通りに進むことによって、新たにまた仮に病院の医療機器を購入しなければいけないとなれば、そういう意味での起債申請はありえると思う。最低限、平成20年度で土地を買うという起債の仕方というのは予定はないと思う」 動画4
 「医療機器については、なんとか感触が良い。正式には3月に入らなければ、起債を認めるという決定はないが、今のところ接触している範囲では、19年度の大型医療機器の起債については、認められるというふうに感触をもっている。新築準備室については、人事の組織の問題と絡むのでつめてないが、基本的には、今回の医療改革プランについては現病院の問題ですから、病院については当然、中心的には、現在の小樽病院と第2病院の事務局体制で作っていく。ただ、ご承知のように、病院だけの問題でなくて、国保、保健所など色々な意味で、地域の医療体制の問題ですから、当然樽病だけでやれというわけにはいかない。少なくとも横のつながりをきちんともって、各々でどういうプランづくりをしていくか求められていると思いますので、中心的には事務局にお願いする考え。今想定していることは、秋口9月くらいまでに大体の考え方を整理して、平成20年度3月末までに提出するという形のスケジュールで、秋口までに作り上げないと、20年度の起債との関係が仮に出た場合、かなんと9月、10月ぐらいをメドに作っていかないといけない」 動画5
 「新病院の規模というものをどうするか、今の現在の予定の468床の問題も含めて、病院の規模というものをどうするか、当然、改めて議論となると思うから、建築の技術屋さんを何人残すかということがあるが、病院準備室がまったく消えてしまうと、我々としては病院をやる気なくなったとなるので、そんな気持ちはさらさらありませんので、基本的には今の老朽した病院と非効率的な経営になっている両病院の統合新築の基本スタンスは変更しないでいこうかなと思っている。準備室は縮小にはなるとは思う」 動画6
 「(病院会計が)何億足りないとかって、親(一般会計)のところにすねかじりに来ても、今の小樽市の財政では、すねをかじる足はない。出せない。これからの20年度の医者なり、看護婦(師)の数の中で、7対1などの一定の制約を受けることや、医療報酬などがどう変わってくるか先が見えない中で、いきなり当初予算からあれもやるこれもやるは出来ないので、これはどうなっているああなっていると言ったって判かりませんので、当初予算から病院の予算を組んでいくのは難しい。だから、本体(市の一般会計)が倒れることは出来ない。そこまでは現段階では出来ない」 動画7
 「公約違反というものは、完成させるとか完成させないとかという問題よりも、自分の意思というかな、公約してやるということと、現状、今回の場合は、改革プランが20年度にテーマが出されたわけで、小樽病院と第2病院を新築統合するための条件として出されたのではなく、設置している自治体がすべて提出しなさいといわれているので、それをクリアしなければ起債の協議には入れない。こういう状況が新たに作り出されたので、平成20年はそれをやる。具体的には、クリアすれば21年から、基本設計のやり直しなり、実施設計なりというスケジュールが出来る。市長の任期中に完成するかどうかという問題は、少なくとも選挙に出たときから完成なんかしないわけなんだから。22年度に任期終わるときに、22年には病院は出来ないんだから。少なくとも病院を作るという作業を事務としてはやっていくという公約。旗降ろしてしまって病院は出来ないんじゃないかではなくって、病院はやる」 動画8
 「ネットワークというのがテーマとして出されているのだから、医師会も含めて、公的病院の人がたが、現病院の機能をどう引き受けて頂けるのか、北後志管内でいくところの余市の協会病院の関係だとかを含めて、そういうところと話し合って、極端に言うと、改革プランというのは、民間で出来るものは民間でやってもらえということ。そして新しい、難しい医療法、小樽でいうと心外、脳外とか、あいうものについては自治体病院がやらざるをえない。赤字がどんどん出るとか。そうすると、やっぱり自治体病院としては、一方ではそういうものをやりなさいと言われて、民間は儲けるものをやって、儲けないのは自治体に回ってくる。繰出しは基本的には、ルールを決めてやりなさいとういうことですから、そういうこと自体が可能かどうかを議論する中で、結果的に468床というのが極論いうと200床になりました、300床になりましたって言えば、それは200でも300でもいいし、全部請け負ってくれるなら、自治体病院がやるべきことをきちっと住民市民と協議して、それこそ、やらなくていいっていうなら、地域医療が守れるっていうなら、そういうことも結果的にありえるかもしれない。そういうことは今まだ協議をしてませんので、新年度明けたら医師会含めて、関係者と話し合いのテーブルを市の方から要請をしてやるということを決めているし、そういう方向で進めていきたい」 動画9
 関連記事1 関連記事2