行政能力の不足を露呈!小樽市の病院問題 (2007/12/17)

 総務省の公立病院改革ガイドライン案をまとめた長隆座長が代表を勤める、東日本税理士法人グループのホームページは、医療問題を考える上での必見情報が多く載せられている。


 12月13日(木)付けの「市立加西病院第1回病院のあり方検討会が開催されました」は、小樽市の病院問題の行方を考える上で、大いに参考になる。


 兵庫県姫路市に隣接する加西市(中川暢三市長・人口約5万人)は、総務省の公立病院改革プランの策定方針を受け、市立加西病院のあり方検討委員会を立ち上げ、11月16日に第1回会合を開いた。


 この検討委員会には、地元との利害関係の無い有識者を招き、委員長には、長隆氏(総務省公立病院改革懇談会座長)を据え、自治体病院のあり方の検討を開始した。


 中川市長は、「この委員会を立ち上げたのは加西病院に引導を渡すことが目的ではありません。有識者の皆さんの、加西市とは柵の無い立場での総合的かつ忌憚の無い意見を聞き、市民と共に加西病院と地域医療の今後を考えようというのが目的です。努力する人が報われる、働きやすい医療現場とすること、そして持続可能な経営体として再構築することが、この委員会を立ち上げた究極の目的です。この委員会が実り多いものとなること、また加西病院の先行きに対して賢明な示唆をいただけることをお願いします」と、冒頭の挨拶した。


 市立加西病院の院長は、「経営的には、医業収支比率が95%台で、自治体病院として平均を上廻る経営を行っています。しかし、今は国も自治体も財政が厳しくなってきており、医療制度上も病院にとって大変厳しい抑制が次々と為されている状況です。これに加えて、全国規模の勤務医不足が、地域医療を災害とも言える困難な状況に陥れている現状があります。このような環境の中、加西病院が市民の為に如何に医療提供して行けるか、この委員会で実りある議論がなされることを願っています」と挨拶している。


 これを受け、小山田惠(社団法人全国自治体病院協議会会長)委員は、「先頃自治体病院の改革案が出され国から正式なガイドラインが出ますが、それを踏まえた改革、そしてしっかりとした医療を提供できる病院をまずやってみることが先決」と指摘し、議論が進められている。


 この委員会の論議で、長委員長は、小樽市の病院問題を考える上でも示唆に富む発言をいくつも行っている。


 「私も今まで多くの委員会に参加していますが、加西病院は一番業績の良い病院であると敬服しています。臨床のマッチング率が非常に高いということです。大学医学部に匹敵するぐらいのマッチング率ではないか。要は病院が生き残れるかどうかは臨床研修医が来るかどうかに尽きるわけです。若い医師が魅力を感じる病院にするということで、(財務的にはいろいろ言うこともありますが、)非常に良くやっていると思います」


 「来年全ての公立病院は経営改革プランを作らなければなりません。豪華病院については財政措置がありません。建設するのは自由ですが、交付税措置の無いところで作ってくださいということです。仮に500床で作るとするなら、民間並みで考えますから年間収入の範囲内、年収100億円なら100億円で作るということです。あるいは1床あたり1,500万円です」


 「今回の、政府の公立病院改革の最も大きな柱は、公立病院の果たすべき役割を明確にしたこと。ポイントを履き違えないでもらいたいのですが、一番重要なことは、公立病院は(もちろん5事業についてなのですが、)前文で明らかにしているように、医師不足に対して公立病院が最も重要な役割を果たしてほしいということです。新たに加えているのは(ここが一番大きなところ)、医師確保の為に財政投入を行うこと、具体的には臨床研修に関して全力投球してほしいということ。更に医師派遣を受けるのではなく、医師派遣をしてもらう公立病院というのを明確な役割として書いたことが最大の良いところだと思っています。これについて、一番最後のところで「財政的にはこれを措置する」となっていますので、当然それに必要な財政措置を行うこと、もちろん加西病院のようにしっかりやっている病院については期待できます。地方交付税の年間6,000億円は維持するが、大幅に見直すと言っているのは、努力した病院については大幅に増加する、例えば東京都立病院は相当な繰り出しがあるので0円にしてもらう。努力したところは重点的に請求して下さい、ということです。ですから、加西病院も一律6億円ずつ繰り出しするというような規律の無い繰り出しは今後認めないでしょう」


 「ただ赤字に正当な理由があれば政府は措置する。加西病院のいけないところは繰り出しをしても赤字ということ。これは駄目です。今後は認められません。そんな甘い計画では駄目だということです」


 「財政力も無いのに政府を当てにしていたら駄目です。今まで政府は好き勝手に作らせてきたんです。その失敗が高知医療センターではありませんか。最初から破綻していた。今まで総務省が地方分権という名目で甘やかしてきた、地方放任で来たことに対して今回は相当決意を持っています。だから今後は政府を頼りにしないで下さい。あなた方がやる番です」


 「今回のガイドラインで一番強制力があるのは、最後の第三者委員会を作るということが勧奨され、公開でやること。できるだけ利害関係者を外したところで毎年やって下さいと。総務省はその資料を全国に公開しますから、計画が達成できない場合は首長が責任を取るということになりますので、かなり強制力があります。今回のガイドラインは全てモデルがあって、例えば評価委員会についてのモデルは泉大津市の評価委員会がモデルになっています。これは小山田会長が強く主張されて、いろんなところでやっている。自らが委員長となってそのモデルとなり総務省に示したものです。客観的評価をして、住民にアンケート調査をしたりする。『評価委員会のモデルは泉大津市のホームページを見て下さい、市民にも十分見ていただいている、』と。計画を立てて実行できなければ、罰則はありませんが、もっと厳しい罰則を政治的に取らされるであろう。首長は医師を集めて収支均衡させなければならない。税金投入も目一杯して医療の質を確保すると約束する。改善した場合としない場合の改革プランが、来年の今頃までには全国から集約されます。皆さんの努力が比較されます。更に今までの国の例では珍しいらしいのですが、報道機関に積極的に開示するとなっています。良いこと悪いことを全部出しなさいと国が明確に示したところが、かなりのことだと言われています。要綱を読むと厳しい面もあるが、国民の期待に応える制度になっていると思いますがいかがですか」


 「官民乱立したり比較的狭い地域に林立しているところ、また努力してきちんと経営できないところには診療所になっていただく、ということは国益に合うと考えています」


 「今後、不良債務は年度内に返済してもらいます。最悪でも2年目に返しなさい。例外を認めないのが地方公営企業法29条です。これを守ってもらわなければ困ります。不採算医療だと言われているものについては、5事業については措置があります。医師派遣にもあります。赤字予算を立てるということは認められない。あくまで地方公営企業法は独立採算を義務付けていることは再三述べている通りです。しかし必要な繰り出しは十分にするし、今後は更に、この病院が無くなれば住民が住めなくなるというということになるところには徹底的に支援をします。誤解の無いようにして下さい。しかし結果的に赤字が出たら首長は説明責任があるということになります」


 この検討委員会は、11月12日に総務省がまとめた公立病院のガイドラインを受けて、直ちに立ち上げられ、公立病院の改革プランをまとめようとしている。自治体病院として、一番業績の良い病院とされている市立加西病院の危機意識に比べ、我が小樽市では、道内一の43億円もの巨額不良債務を抱え、経営破たんしている小樽市立病院問題で、このような取組みは、何もなされていない。両市を比べると、その行政能力とリーダーシップの違いが一目瞭然とする。


 小樽市山田勝麿市長は、開会中の12月議会でも、新市立病院について、「基本設計業務を一時中断せざるを得なくなったことは大変残念でありますが、何回も説明したとおり、開院時期が遅くなるが、やらなきゃいけないと思っている」と、築港地区での豪華病院建設を続行する姿勢を見せているが、この強がりがどこまで続けられるかは極めて疑問だ。


 小樽市のやらなければならないことは、小樽の病院問題の現在の状況を的確に把握し、国のガイドラインに沿った改革プランを早急に作成することで、起債の認められない新病院建設に拘泥することではない。新たな明確な方針を素早く示すことこそが求められている。


 加西市HP


 市立加西病院第1回病院のあり方検討会 第1回議事録


 東日本税理士法人グループ


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