公立病院改革ガイドラインまとまる!小樽市に痛撃!


 総務省の「公立病院改革懇談会」(長隆座長)は、12日(月)に、赤字公立病院の改革に向けたガイドラインをまとめた。
 このガイドラインから、小樽市の病院に関連する箇所を抽出すると、今後の病院問題の行方が透けて見えてくる。よく読むと、このガイドラインは、累積赤字を抱え破綻状態にある小樽市の病院向けに書かれたものの様に思えてくる。
 まず、「特に留意すべき」こととして、「一般会計等からの支援を当然の前提としてこれに安易に依存することなく、まずは自助努力によって独立採算を目指すという経営の基本を出発点に置くべきであること」としている。
 公立病院改革の基本的な考え方として、「今般の公立病院改革の究極の目的は、改革を通じ、公・民の適切な役割分担の下、地域において必要な医療提供体制の確保をが図られることにある」
 「民間的経営手法の導入を図る観点から、例えば地方独立行政法人化や指定管理者制度の導入などにより、経営形態を改めるほか、民間への事業譲渡や診療所化を含め、事業の在り方を抜本的に見直すことが求められる」と、地方公営企業法の全部適用が除かれている。
 「本ガイドラインを参考に各公立病院の改革に関するプランを策定し、これを着実に実施することが期待される」
 「特に民間医療機関が多く存在する都市部における公立病院については、果たすべき役割に照らして現実に果たしている機能を厳しく精査した上で、必要性が乏しくなっているものについては廃止・統合を検討していくべきであることが期待される。また、同一地域に複数の公立病院や国立病院、公的病院、社会保険病院等が並存し、役割が競合している場合においても、その役割を改めて見直し、医療資源の効率的な配置に向けて設置主体間で十分協議が行われることが望ましい」と、官民協力を促している。
 そして、「病院事業を設置する地方公共団体は、平成20年度内に下記により公立病院改革プラン(以下「改革プラン」という。)を策定し、病院事業経営の改革に総合的に取り組むものとする」
 「改革プランは、前掲の改革に係る3つの視点のうち、経営効率化に係る部分については3年程度、再編・ネットワーク化及び経営形態の見直しに係る実施計画に係る部分については5年程度の期間を対象として策定することを標準とする」
 「経営指標に係る数値目標の設定に当たっては、少なくとも、一般会計等からの所定の繰出が行われ「経常黒字」が達成される状態(すなわち経常収支比率が100%以上となること)を想定して、これに対応した水準で各指標の目標数値が定められるべきである。この場合の一般会計等からの繰出は、独立採算原則に立って最大限効率的な運営を行ってもなお不足する、真にやむを得ない部分を対象として行われるものであって、現実の公立病院経営の結果発生した赤字をそのまま追認し補てんする性格のものでないことは言うまでもない」と述べ、独立採算が原則となる。
 「同一地域に民間病院が立地している公立病院にあっては、地域において類似の機能を果たしている民間病院の状況等を踏まえつつ、『民間病院並みの効率性』の達成を目途として、経営指標に係る数値目標を設定することが望ましい」
 「病床利用率が特に低水準である病院における取組一般病床及び療養病床の病床利用率がおおむね過去3年間連続して70%未満となっている病院については、本改革プランにおいて、病床数の削減、診療所化等の抜本的な見直しを行うことが適当である。その際、病床数が過剰な二次医療圏内に複数の公立病院が所在する場合には、後掲の再編・ネットワーク化により過剰病床の解消を目指すべきである」 関連記事 
 「病院施設の新増築、改築等に当たっては、将来的な減価償却費負担の軽減の観点から、当該施設・設備整備に要する経費を必要最小限度に抑制するよう努めることが適当である。その際、病院施設・設備の整備については、当該病院が公立病院として果たすべき役割を踏まえ必要な機能が確保される必要があるが、こうした要因から特に割高となる部分を除き、民間病院並みの水準の整備費により新増築、改築等が行われるよう特に留意すべきである」
 「特に、都市部にあって、複数の公立病院や国立病院、公的病院等、更には大規模な民間病院が多数立地し、相互の機能の重複、競合が指摘されるような場合には、他の医療機関の配置状況等を踏まえ、当該公立病院の果たすべき機能を厳しく見直し、必要な場合、他の医療機関との統合・再編や事業譲渡等にも踏み込んだ大胆な改革案についても検討の対象とすべきである。この場合において、複数の地方公共団体間や地方公共団体と公的病院等の運営主体との間の調整等については、地域医療対策協議会等を活用することも併せて検討すべきである」述べられている。
 このガイドラインからは、病院経営は、一般会計からの支援に依存せず、独立採算を目指し、公・民の適切な役割分担を明確にすること、民間病院並みの水準の整備費により新増築を行うなどが見える。
 これを小樽に当てはめると、豪華病院の新築は、到底望めず、一般会計からの赤字補てんが認められず税金投入なしの黒字化が迫られることになる。これらの課題は、小樽にとっては、厳しいものになる。
 病院問題の今後の行方次第で、小樽市は「財政再生団体」へ、病院は「診療所」に、という抜本的改革を迫られる最悪のシナリオが、現実のものとなる可能性も高くなっている。
 病院改革は、「待ったなし」となった。
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