地方公営企業法の全適は不可能に!市立病院の経営形態!


 市立2病院を統合新築する新病院問題の行方は、小樽市の最重要課題となっている。それと同時に、現在の市立病院の経営形態の在り方も問われており、市は、地方公営企業法の全部適用のための準備を着々と進めている。
 議会での市長答弁を受け、市は、6月の人事異動で、地方公営企業法の全部適用に向け担当主幹を新たに配置し、全適を推進する体制を整えていた。9月3日(月)には、山田厚副市長が、小樽市役所職員労働組合連絡協議会(市職労・小樽病職・全水道)に、全部適用について提案し、本格的な動きに入っていた。
 しかし、総務省は、「最も採用する自治体が多い地方公営企業法の全部適用での病院経営は認めない」方針を固めている。このため、山田勝麿市長が、再三にわたって議会で答弁している地方公営企業法の全部適用は不可能な事態となっており、答弁の修正を迫られることになりそうだ。
 地方公営企業法の全部適用とは、現在の病院経営の責任者は、病院の専門家ではない市長となっているが、新たに事業管理者を設置し、経営責任を明確にするもの。これにより、巨額の欠損金や不良債務を出し、二進も三進(にっちもさっち)もいかず崖っぷちに立たされている市の病院事業の経営形態を見直そうとしている。
 しかし、最新の情報では、総務省は、今後は、「非公務員型の地方独立行政法人を原則にする」(自治財政局)ことにし、最も採用する自治体が多い地方公営企業法の全部適用での病院経営は認めないことにしている。
 能天気な小樽市は、2011(平成21)年度に、全部適用を目指しているが、総務省の自治体病院改革の動きは速く、全適を認めない方針になっており、のんびりとした市行政にとって、寝耳に水の驚きが広がっている。
 病院事務局では、「大変恥ずかしい話だが、この件での事実関係が分からない。今の段階では、確認が出来ないし、道からも何の話も来ていないので、全部適用を進めることになっている」(小山秀昭次長)と驚き、山崎範夫総務部長は、「総務省の方針は、聞いていない。早速、調べてみる」と、大慌てだ。
 総務省の公立病院改革懇談会の長隆座長は、「全部適用は、現在の法律で出来るが、全適は、改革をする振りだけで、予算や給料の決定権がないから、医者も来ないし、全適をした効果が認められない。実際の改革が出来ないので、総務省は、これからは全適を認めない。小樽市は、さっさと総務省に確認するべきだ」と、9月10日(月)に本社に明言した。
 最新の情報をフォロー出来ず、井の中の蛙で、事を進める小樽市役所の情報収集力の乏しさは、市や市議会、さらに市民までをも、誤った方向に導きかねない危険性が露になった。
 国の方針に逆らっても全部適用をするのか、小樽市の今後の取組みに早急な変更が求められることになった。市長の市議会答弁の修正も必要で、病院経営形態の選択で、大きな方針転換を迫られることになり、開会中の市議会(第3回定例会)でも、市長の責任が問われる事態になりそうだ。
 公立病院の再編指針策定へ
 自治体病院の二重苦
 医療経営財務協会HP
 那覇市立病院の今後の方向性について
 地方公営企業法全部適用について 多治見市の資料
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