《博物館メルマガ第83号:小樽の森から海から25》 (2006/03/13)

 ☆ 小樽の森から海から25 エゾリスの巣を観察しました


 2月25日に長橋なえぼ公園で実施した自然観察会「雪の上で動物の足跡をさがそう!」はたいへん良いお天気に恵まれました。気温の高い日が続き引き締まった雪の上に前の夜うっすらと雪が積もり、足跡の観察にはパーフェクトな条件でした。


 肝心の足跡はテン(おそらくキテン)、キタキツネ、エゾリス、エゾユキウサギ、エゾヤチネズミを見つけることができました。決して広くないなえぼ公園に実に様々な動物が暮らしていることに、いつものことながら驚かされます。他にはミヤマカケスやシジュウカラ、ハシブトガラ、ヤマガラなどの姿や雪の上を歩くセッケイカワゲラの仲間などを観察できました。


 森の入り口には一昨年の台風で折れた木がたくさん残っています。これらの木には虫が入っているのか、アカゲラやクマゲラの食痕が無数に見られ、講師の阿部先生からクマゲラとアカゲラの掘り痕のサイズの違いなどを教わりました。


 森の入り口にキツツキの食痕が多かったのに比べ、いつもクマゲラの大きな掘り痕がたくさん見られるトドマツの造林地では、新しい食痕がまったく見られませんでした。ここ数年続けて巣穴を掘っていたハンノキにもクマゲラが来ている気配がありませんでした。公園内でのクマゲラの行動がいつもの年と違っているようで、少し心配です。


 この日のハイライトは森を抜けたところで見つけたエゾリスの巣でした。なえぼ公園にはずいぶんたくさんのエゾリスがすんでいますが、リスの巣というのはご覧になったことはありますか? 私もきれいなリスの巣を見たのは今回が初めてでした。


 エゾリスは地上15メートルほどの木の梢に直径30~40センチほどの球状の巣を作ります。外側は木の小枝などでできており、外見はカラスの巣ににていますが、鳥の巣と違ってボールのように上まで丸いのが特徴です。一見ヤドリギに見えます。


 巣の内側は枯れ草や木の皮など柔らかい素材が持ち込まれ敷き詰められています。また、出入り口になる穴は柔らかい素材で巧みに蓋がされており、外からは塞がっているように見えてもリスはスムーズに出入りできるような構造になっているそうです。


 特に杉の樹皮はリスの巣材としてよく利用されることが知られています。杉は本来北海道に無い木ですが、なえぼ公園には植えられたものがたくさんあり、リスに皮を剥がれてしまった木をよく目にします。公園の入り口付近にもありますので、探してみてください。


 今回、なえぼ公園で見つけた巣は二ツ目川の河岸の背の高い木の上にありました。中央園路からも見える場所です。とてもきれいなボール状の巣で、すぐ向かいにあるカラスの巣とは明らかに形が違っています。今現在利用されているのかわかりませんが、典型的な形のきれいな巣です。


 すぐ近くの木の割れ目にたくさんのクルミが入っているのを、参加した男の子が見つけてくれました。大人たちは全く気づきませんでしたが、ちょうど子供の目線の位置にあったようです。


 エゾリスは冬の食べ物を地面の下や、このような木の割れ目、枝の間などに隠しておく「貯食」という行動をします。隠した食べ物はにおいなどを頼りに探すのではなく、隠した本人の記憶によって見つけることが最近の研究でわかってきているそうです。また、その分忘れてしまうこともあり、それがクルミの発芽を助けているらしいということも有名な話です。このクルミも巣の住人が隠していたものなのでしょうか?


 なえぼ公園はもう数え切れないほど歩いている場所ですが、出かけるたびに新しいものを見つけることができます。町の中に残った小さな森ですが、本当に奥が深い場所です。


 先日、なえぼが公園になる前の調査で採集された小さな昆虫のサンプルを見直していたところ、これまでにわずかな採集例しかない珍しいカメムシが入っていました。生態もほとんどわかっていない貴重な昆虫で、こんな珍しいものが生息していることに非常に驚きました。今年の春はこのカメムシの再捕獲を目指して、少しトラップ調査もしてみたいと思っています。また、なえぼ公園の新しい顔が見えてくるかもしれません。結果をご期待ください。


 博物館メールマガジン84号は4月1日ころ配信予定です。(転載許可済)


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