市内のトンボ、また新発見!希少種のオオアオイトトンボ!


 これまで小樽市内では記録されていない、イトトンボなど5種類の今夏の新発見に続き、8月に入り、さらに1種類のトンボが、長橋なえぼ公園で発見され、関係者を驚かせている。


 小樽市内で、8月18日に新たに記録されたトンボは、オオアオイトトンボという種類。北海道が発表しているレッドデータブックで希少種に指定されている昆虫。道内で確認されている生息地は、僅かしかない珍しいものという。


 新発見をしたのは、先にオオイトトンボ・オゼイトトンボ・ルリイトトンボ・クロイトトンボ・モノサシトンボの5種類を発見していた、小樽市博物館の昆虫調査班。長橋なえぼ公園は、同館の昆虫調査を長年にわたって実施しているフィールドのひとつ。それだけに、新種のオオアオイトトンボが同公園で発見されたことが、関係者を驚かしている。


ohao.jpg 新発見されたオオアオイトトンボは、メタリックグリーンに輝く美しいトンボ。水の中ではなく、池や沼の上に突き出した木の枝に卵を産み付けるという、大変変わった習性を持っているという。(写真提供:市博物館)


 新発見をした博物館の山本亜生学芸員は、「今夏の5種類の新発見に続き、さらにもう1種類が発見出来たことに、本当に驚いている。今後の調査でも更なる発見がある可能性が高い。小樽の街中にある貴重な生息地を守っていくことが必要」と、今後の目撃情報の提供を呼び掛けている。


 なお、このトンボの新発見については、山本学芸員が<博物館メールマガジン第74号>に報告を載せている。


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☆小樽の森から海から20 秋が近づいてきました<博物館メールマガジン第74号より>(転載許可済)


 9月に入り野山の様子もすっかり秋めいてきました。今年の夏はセミの声がにぎやかでしたが、それに代わってキリギリスやコオロギの声が目立つようになってきています。たくさん飛んでいたオニヤンマに代わってアキアカネやノシメトンボなどのアカトンボも多くなってきました。


 なえぼ公園や小樽海岸自然探勝路、奥沢水源地などは初秋の花が咲き始め、段々とにぎやかになってきています。林道ではハンゴンソウ(黄)、オオハンゴンソウ(黄)、エゾノコンギク(紫)、エゾゴマナ(白)、オトコエシ(白)、アキノキリンソウ(黄)、ミミコウモリ(白)、ハエドクソウ(白)、ヤブマメ(赤紫)、ヤマハギ(赤紫)、ヤブハギ(赤紫)、イヌタデ(赤)、ミゾソバ(赤紫)、ミヤマトウバナ(赤紫)、サラシナショウマ(白)などが目立ちます。赤岩山などではエゾトリカブトが美しい青紫色の花を咲かせ始めています。奥沢の穴滝では滝の周囲の岩場がダイモンジソウ、フキユキノシタの白い花でいっぱいでした。ダイモンジソウは赤岩の海岸でも花を咲かせているそうです。


 前回は小樽で見つかっているトンボとこれから見つかるかもしれないトンボをご紹介しましたが、その後長橋なえぼ公園でこれまでに市内で見つかっていないトンボがまた一種類見つかりました。オオアオイトトンボという種類でメタリックグリーンに輝くたいへん美しいトンボです。よく似たアオイトトンボ(市内に普通)とは一回り大きいこと、胸部の模様や腹端の構造が違うことで簡単に見分けられます。しかし飛んでいるものを眺めるだけでは両者を区別することは困難です。


 長橋なえぼ公園は博物館が資料収集を続けているフィールドの一つで、1991年から1993年までは昆虫の調査を集中的に行った場所です。そんな場所で、今になって新しいトンボが見つかったことはたいへんな驚きでした。普通種でよく似たアオイトトンボと混生しているので、これまで網に入れて調べる機会を逸していたのだと思います。普通種だと思っていたものがよく調べると貴重なものだった、ということは昆虫の調査の中ではよくある出来事で、調査の醍醐味でもあります。


 オオアオイトトンボは北海道が発表しているレッドデータブックで希少種に指定されている昆虫で、道内で確認されている生息地はわずかしかありません。なえぼ公園内にはオオアオイトトンボが暮らせるような水辺はごくわずかしか残されていません。貴重な生息地を守るためには彼らの生息状況や行動域を慎重に把握する必要があるでしょう。


 オオアオイトトンボは水の中ではなく、池や沼の上につきだした木の枝に卵を産み付けるというたいへん変わった習性を持っています。産卵に適した場所が消えればオオアオイトトンボも簡単に絶滅してしまうはずです。まずは是非とも産卵場所をつきとめたいものです。


 オオアオイトトンボは夕方、産卵木にたくさん集まる習性があることがわかっています。なえぼ公園に散歩に出掛けた時に「木の枝に集まるたくさんのトンボ」を目撃された方は是非博物館に情報をお寄せください。身近な場所で見つかった貴重な生きものを今後もみんなで見守っていければと思っています。(次回は76号に掲載します)


博物館メールマガジン75号は9月15日ころ配信予定です。


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